品川を13時02分に出たのぞみは、新大阪に15時27分に着いた。
田中悠は新幹線の座席から立ち上がりながら、隣の木村彩に言った。「2時間25分か。思ったより早いな」
「いつも言うよね、それ」と彩が笑った。
二人で大阪に来るのは三年ぶりだった。前回はコロナ前で、まだ付き合いはじめたばかりだった。悠は30歳、彩は27歳になっていた。
ホテルは梅田のビジネスホテル。素泊まり一室12,000円。「明日の万博に備えて早めに寝よう」と言っておきながら、チェックインしてから結局なんばまで出た。
道頓堀の橋の上で、悠はたこ焼きを食べた。一皿650円。彩は「これで万博のたこ焼きの比較ができる」と言いながら食べた。
ホテルに戻ってから、二人でスマートフォンを並べて万博のアプリを開いた。
「イタリア館……2ヶ月前予約の抽選、当然落ちてるよ」と彩が言った。「しょうがないけど」
「ガンダムパビリオンは当日の朝に予約枠が出るらしい」
「どんな仕組みなのそれ」
「ガンダム方式って呼ばれてるらしい。朝早く予約とれるかやってみよう」
「フランス館行きたい。ディオールのドレスがあるやつ」
「ちゃんと調べてんじゃん」
「事前にリサーチするのは仕事と同じでしょ」
翌朝は六時に起きることにした。